遠藤雷太のうろうろ日記2

札幌の劇作家。日本劇作家協会会員。 演劇の感想は、できるだけ「否定的なことを書かない」「社交辞令で褒めない」「人と違うことを書く」という方針。

片渕須直監督『この世界の片隅に』(2回目)

【映画予告編】『この世界の片隅に』特報/出演:のん(能年玲奈)|Movie Trailer 114sec

2016/11/20

・気がついたら二周目。

・今度は日本語字幕付き。最初は邪魔に感じたけど、広島弁で聞き取りにくいところもあってので重宝した。

・覚えているシーンが記憶よりも前倒しで出てくる。

・「え、もうこのシーン?」と何度も思う。

・日常を淡々と描いているのに、異常にテンポがいい。

・町山智宏さんがこの作品を「マッドマックス怒りのデスロードタイプの編集ですよ」って言ってたけど、確かに展開のシンプルさ、テンポのよさ、情報量の多さは通じるものがある。

・ついでにすずさんとフィリオサの共通点は多い。

・悪人がほとんど出てこない話なので、懐古趣味のひとが真に受けて「昔はよかった」的なことを言いそう。

・ただ、作り手はそのへん無自覚ではなくて、終盤にちょっと唐突なくらい強烈なシーンを挿入している。

・そのシーンは、同時にヒロインの「最悪のif」の姿とも重なる。語りの効率がいい。

・この作品を以って「昔のひとは助け合って…(それにくらべて今は~)」とか言っているひとがいたら、口に楠公飯や雑草をつめてやっていい。

・日常の風景に戦闘機が入り込んでくるところは怖い。日常と非日常は常に隣りあわせ。

・いろんな兵器が降ってくるが、それすら日常になっていく。

・それを人間のたくましさだと思う一方、日の丸の旗を振って出兵を祝うのは、流されすぎだと思ったりもする。

・爆弾はどうにもならないけど、モラルの部分も意思の力ではどうにかならなかったものなのか。

・見間違いかとも思っていた太極旗は、やっぱりチラっとひるがえっていた。

・エンドロールのエピローグは二部構成。

・晴美さんの服がつぎはぎされているところが細かい。

・遊女のリンのifが切ない。

ツイッターに絶賛が並ぶのを、能年玲奈の芸名騒動の反動で水増し評価されているのかと思っていたけど、見てみたら本物としか言いようがない。

・この感覚、最近味わったなと思ったら、日ハムの大谷が二刀流とかで騒いでいるうちに160kmも投げる本格派投手になっていた感じに似ている。

片渕須直監督がポスト高畑勲の椅子に、シレっと腰掛けている。あんまり坐り心地がよさそうには見えないけど。